市川春子「虫と歌」「25時のバカンス」

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■虫と歌

こちらが一冊目の短編集。漫画としては決してうまくない絵だけど、ページごとのデザインとしての美しさはほれぼれする出来。セリフもよく練られていて美しいです。

「星の恋人」
金剛先生の原型はこれか...
そもそも「さつき」の指が「つつじ」になるときに女の子になるのはけっこうハードル高そうなんだけど、叔父さんはあえてそうしたんだろうか。

「日下兄妹」
チームメイト、おばさん、ヒナ、いろんな人の愛情が眩しいお話。最後のページはなんてことない構図だけどとても美しい。

「ヴァイオライト」
たぶん一番難解なお話。すみれの正体は難しくないけれど、何が起こっているのか絵からわかりにくい。

「虫と歌」
淡々と描かれているけれど、兄さんの淡々とした最後の独白が悲しくて重くてつらい気持ちになる。

■25時のバカンス

今夜の市川春子アワーは「姉は人間水槽」「卒業式に人間卒業」「兄はイケメン蓮男」の3本です。

「25時のバカンス」
肉も脳も血も食われてしまい、人格や記憶は内部に形成された真珠層にはりついているという無理矢理な姉・乙女。彼女を食べたために彼女の思いを知ることになった深海生物も可愛くてなんだか憎めない。何も直接的な描写はないのに、ものすごくエロティック。

「パンドラにて」
卒業式のあと、外に飛び出したロロ=クアドラの見たものがデザイン的に処理されすぎててわかりにくい。リアルに描くのはNGだと思うけどわかりにくい。そして、あんなにもお互いを思い合っていたのに全然わかりあえてないのがつらい。
代謝活動が止まっていなくても、ナナをナナたらしめていたものはもう永遠に失われて戻ってこないのに。

「月の葬式」
蓮コラ駄目な人にはおすすめしないマジで。そして、月が壊れたら地球も今の姿ではいられない気がする。スルーするには、月は地球に対して近すぎ大きすぎる。